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概要

入力→[システム]→出力

システムあるいは系(system) 信号 x(t) を入力して、 y(t) という信号を得るようなブラックボックス。

システムの数学的表現

通常、システムの入出力の関係は、微分方程式を用いて表します。 ある関数 H を用いて、

y(t) = H( x(t), t,
d
dt
)

などと言うように表すことができます。

特に、入出力の関係を

y(t) = H(
d
dt
) x(t),

という形で表せるとき、 関数 H伝達関数(transfer function)と呼びます。 信号の伝達経路の特性を表す関数という意味です。 詳細は後ほど説明しますが、 線形時不変なシステムはこのような形で表すことができます。

分類

システムは、その性質からいくつかの種類に分類できます。

この節では、システムの分類について説明していきますが、 便宜上、以下の文章では記号の意味を以下のように定義します。

まず、システム S に対して、 「信号 x(t) をシステム S に入力したとき、 出力信号 y(t) が得られた」 というのを、

y(t) = S[ x(t)]

で表します。

また、入力信号を x(t), x1(t), x2(t) ・・・ など、文字 x で表し、 出力信号を y(t), y1(t), y2(t) ・・・ など、文字 y で表します。 このとき、特に断りがない場合、 暗黙的に yn(t) はシステムに xn(t) を入力したときの出力であるものとします。

さらに、特に断りのない限り、 a, b, c などの文字は(t によらない)定数をさすものとします。

線形性

システム S の入力と出力が以下のような関係を持つとき、 システムは線形である(linear)、あるいは、線形性(linearity)を持つと言います。 (その逆は非線形(non-linear)と言う。)

S[ a x1(t) + b x2(t)] = a y1(t) + b y2(t)

線形なシステムは、 x1(t) に対する出力 y1(t) と、 x2(t) に対する出力 y2(t) を別個に求めることで、 2つの入力信号の線形結合 a x1(t) + b x2(t) に対する出力を簡単に計算することができます。

入出力の関係式を

y(t) = H( t,
d
dt
) x(t)

と表せるとき、このシステムは線形になります。

時不変性

システム S の入力と出力が以下のような関係を持つとき、 システムは時不変である(time-invariant)、あるいは、時不変性(time-invariance)を持つと言います。 (その逆は時変(time-variant)と言う。)

S[ x(t + T)] = y(t + T)

ただし、T は定数です。 時不変とは、システムの特性が時間によって不変であるということです。 (入力の時刻がずれると、出力も同じ時間分ずれるだけ。)

入出力の関係式を

y(t) = H( x(t),
d
dt
)

と表せるとき、このシステムは時不変になります。

線形時不変

システムが線形性と時不変性を両方持っているとき、 システムは線形時不変であるといいます。 線形時不変なシステムは、 定数係数線形微分方程式を用いて表すことができ、 システムの振る舞いを解析的に調べることが容易です。

線形時不変システムでは、入出力の関係式を

y(t) = H(
d
dt
) x(t)

と表すことができます。 このとき、関数 H をシステムの伝達関数と呼びます。

安定性

任意の時刻 t において、 信号 x(t) が有限の値を持つとき、 その信号は安定(stable)であると言います。 システムに対して安定な信号を入力したときに、 出力信号が必ず安定になるとき、 そのシステムは安定である、あるいは、安定性(stability)を持つといいます。 (その逆は不安定(unstable)。)

不安定なシステムでは、出力信号が発振したりします。 例えば、スピーカがハウリングを起こすのは、 (マイク→アンプ→スピーカという音の伝達経路が)不安定になっているということです。

因果性

システムのインパルス応答が時刻 t < 0 において 0。

現実には因果的でないシステムは作れない。

執筆予定

  通常、微分方程式(離散信号の場合、差分方程式)で表される。

  線形時不変システムに対しては、フーリエ変換を用いた解析が極めて有効。
  (線形時不変システムは定数係数線形微分方程式で表される。)

  x(t) →[H(d/dt)]→ y(t) = H(d/dt)x(t)
  ↓F
  X(ω) →[H(iω)]→ Y(ω) = H(iω)X(ω)
  ↓F^-1
  x(t) →[* h(t)]→ y(t) = h*x(t)

    ↓
  周波数領域で表現すれば、
    ただの多項式になったりする。
    ただの積で現せる。

  H(iω) を周波数特性とか周波数応答と呼ぶ。

アナログ回路
  能動素子(オペアンプなど)と抵抗・コイル・コンデンサで回路を構成。
  連続信号をそのまま処理。
  微分・積分が回路構成の基本 → s領域で回路設計。(「ラプラス変換」参照)

ディジタル回路
  連続信号を標本化して離散信号に。
  差分が基本 → z領域で回路設計。(「Z変換」参照)

↑
ラプラス変換領域や、Z変換領域で表した H(s) や H(z) などを伝達関数と呼ぶ。

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